コラムリレー

岩手看護学会 理事長 内海香子

――ご自身がなさった看護研究で最も思い出に残っているのは。

修士課程在籍中に、糖尿病の患者様の制約感についてインタビューをした研究です。患者様も最初は、インタビューの回答に躊躇していましたが、徐々に食べる楽しみを捨てなくてはならないことや、自身と病気を切り離すことができない苦しさなど、病気によって制約される辛さについて話してくださいました。また、インタビュー自体が患者様のケアになることを実感しました。

――看護研究を行うことのメリットは。

「発見」と「ケアの変化」です。大学院修了後に勤務した血液内科病棟で、看護研究をしました。当時、白血病の患者様は、化学療法を実施し、骨髄抑制からの立ち上がり後に1クール各に退院し、1~2週間後に再入院をするというパターンで治療をしていまいた。看護師は入院中も退院時も感染予防や体調管理について患者様に説明をしていました。しかし、患者様自身が気を付けていることがあるのではないかと思い、化学療法による入退院を繰り返す白血病患者様が行っているセルフケアついてインタビューをしました。その結果、患者様が次の治療を必ず受けられるように感染予防をはじめ多くのことに気をつけて生活していることや、輸血や検査の費用の負担が大きいことが明らかになりました。このような患者様のセルフケアや思いを知ったスタッフは、患者様の行動にはご自身の考えがあることを重視し、看護師からみて感染予防が緩んでいると感じても注意するのではなく、まず患者様の考えを聞き、白血球などのデータを一緒に見て、感染予防行動について話し合うようになりました。研究により、患者様が自分の身体について考えてセルフケアをしていることや療養を継続する大変さがわかったことで、スタッフのケアに変化が生じたと考えています。

――岩手の看護にはどのような研究が必要だと思われますか。

ルーラル(僻地)で生活する人々や医療者という視点の研究の蓄積があるとよいと思います。岩手県の臨床で行われるケアには、患者様や利用者様の個別性にルーラルで生活する特徴が表れており、気づかないうちにその土地の文化を踏まえたケアになっています。
岩手は盛岡医療圏に医療資源が集中しています他県も大都市に医療施設が集中する傾向があり、県北や沿岸の地域の看護実践の難しさや行われているケアが、他の地域の看護者の参考になることもあります。
地方では医療資源が限られていますが、患者様が療養するあらゆる場にいる看護者が医療の質を上げる鍵となります。つまり一人ひとりの看護者が力をつけ、看護師同士の連携(看-看連携)を強化することが重要と思います。ルーラルで暮らす人々に適した看護の事例研究や、ルーラルでのネットワークづくりに役立つような看護研究が蓄積されるとよいと思います。

――本学会をどのように活用してもらいたいですか。

岩手看護学会学術集会や学会誌を通して、ご自分の看護実践力を高める材料や、新しい情報や知識を得る場として使っていただきたいです。本学会の特徴に、看護師、助産師、保健師、養護教諭、教員、そして学生も含め看護に携わる全ての職域や世代が所属していることがあります、世代間交流や職種間交流も可能です。一人の対象者にはさまざまな職域の看護職が関わっていますので、顔の見える関係を作る場になることを期待します。
また学術集会とは別に、毎年行われる「めんこいセミナー」にも足を運んでいただければ幸いです。「めんこいセミナー」は年度により、看護研究に関する内容についてテーマを変えて企画しています。
岩手の看護職の皆様と学会活動を通して、交流をはかり、お互いに成長できたらと思います。

(記事担当:広報委員会 遠藤)

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