岩手看護学会設立趣旨の説明

岩手県では長年にわたり、地道なすばらしい看護がおこなわれ、看護職者が県民の健康を守ってきたということは、周知の事実でございます。そして県立大学ができる20年も30年も前から、県内に看護の大学教育をと望む声があり、岩手の看護の発展を望んできたという事実があります。

幸いにして高齢社会の到来に備えて、優れた看護の人材を各県で養成するようにという「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が平成4年に制定され、それに後押しされて、平成10年に県立大学看護学部が設立されました。そして4年後の完成年度には修士課程を、さらに2年後には博士課程を開設することができ、今年の3月に全ての課程が完成いたしました。

そこで次に必要なことは、大学にとどまらず、本県全体の看護の更なる発展・充実にいかに貢献できるかということでございまして、そのためには、実践現場の方々との本格的な協働、連携が必要であり、その焦点として「学術の追求」を中心とした組織を作るということを考えました。つまり、看護の実践・教育の基盤となる理論的根拠の追求、そして知識の集積を、より徹底した形で、県内の看護関係者がこぞって行い、記録に残していくための組織を作ることが必要であると考え、学会を作るという構想を立てたわけでございます。

学内で去年の11月ころから検討をはじめ、その過程で、看護協会の研究学会があるではないかという意見もありましたが、本学会は看護職者だけでなく、看護に関心のある方や、他県の方も含めることができること、本学の卒業生や大学院修了生の参加を期待していること、そして学会誌を発行し、学会で発表された内容を掲載すれば、医学中央雑誌のような研究データベースに収録され広く共有されるなど、看護協会の学会との違いと意義を確認し、検討を重ね、準備してまいりました。また準備の課程では、検討内容を全教員にメールで配布し、いつでも、どなたでも参加できるように進めてきたつもりでございます。

本日、ここに設立総会を開催する運びとなりまして、ご参集いただきました皆様に、内容をご説明し、十分ご検討いただきまして、ご賛同いただければ幸いと考えております。よろしくお願いいたします。

岩手看護学会(仮称)設立発起人代表
兼松 百合子
平成19年6月23日
岩手看護学会平成19年6月交流集会集録より引用

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