コラムリレー ~はじめての学会発表①~

岩手看護学会では「はじめての学会発表」を行った方の感想を掲載していきたいと思います。
第一弾では、第15回岩手看護学会学術集会ではじめて学会発表をした佐藤亜美さんの感想を掲載いたします。


一般演題(示説)
「ビノレルビンおよびドキソルビシンによる静脈炎と注射部位反応予防のための温罨法の有効性に関するラットを用いた実験的研究」
〇佐藤亜美,山本真白,高橋亮,三浦奈都子

①はじめて学会発表をした感想

今回はじめて学会発表を経験させていただきました。緊張もありましたが、自分が取り組んだ研究に対して、様々な方からの嬉しいお言葉やご助言などをいただき、とても貴重な経験になったと感じています。

②研究に取り組んだエピソード

大学の講義の中で、薬液の血管外漏出や褥瘡へのケアに関する実験研究を聞く機会があり、実験研究に興味を持ちました。学生時の臨地実習にて、看護師が抗がん剤による静脈炎予防のために患者さんの腕に温タオルをあてている場面がありました。炎症抑制というと冷罨法をイメージすることが多かったため、その時の看護ケアがもたらす効果について疑問を抱きました。様々な先行研究を通して、温罨法に対する統一した見解が得られていないことを知り、卒業研究として今回のテーマで取り組むことを決めました。

③研究に取り組んだ際に苦労したことや工夫したこと

研究に取り組んだ際に苦労したことの一つとして、実験方法を決める過程が挙げられます。静脈炎予防をテーマとした実験研究は少なく、罨法の温度やタイミングをはじめ、全ての手順に根拠を持って決めることが大変でした。様々な文献や臨床での看護場面を参考にしながら、指導してくださった先生方やゼミ内の学生と何度も検討しました。卒業研究という限られた時間の中で十分な結果が得られるのだろうかなどと不安もありましたが、先生方にサポートしていただきながら、無事に終えることができました。

④今後どのような実践や研究につなげていきたいか

今回は実験動物を用いた研究であったため、患者さんが感じる疼痛といった主観的なデータを得ることはできていません。現在、看護師として勤務する中で化学療法目的で入院されている患者さんと関わる機会が多くあります。そのため、今後は今回の研究で得られた結果と臨床現場における看護ケアや患者さんの主観的訴えを照らし合わせることなどにより、抗がん剤投与時の温罨法の有効性について検討を重ねる必要があると考えています。

2023/9/20 掲載

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