コラムリレー ~受賞者の声①~
岩手看護学会では、新たに『岩手看護学会AWARD』が設けられております。
これは、岩手看護学会学術集会の発表演題の中から「優秀演題賞」、岩手看護学会誌投稿論文の中から「優秀論文賞」をそれぞれ選出し、賞状および副賞(金一封)を授与するものです。
2022年10月に開催された第15回岩手看護学会学術集会(大会長:三浦幸枝氏)では、2題が「優秀演題賞」に選出されています。
~「優秀演題賞」受賞者の声①~
一般演題(口演)
「東日本大震災後の岩手県における高齢者の不眠症状の実態」
○赤井純子、岩渕光子、事崎由佳、丹野高三、照井春樹、橙澤佳澄美
(左より 照井氏、橙澤氏、三浦大会長、丹野氏、赤井氏、事崎氏、岩渕氏)
赤井純子さん
【受賞の感想】
最初、お知らせを聞いたときは驚きましたが、丹野先生をはじめ、共同研究者の先生方と一緒に取り組んだ研究だったので、とても嬉しかったです。がんばってよかったと思いました。
【発表演題に取り組んだエピソード】
私は2018年に、いわて東北・メディカルメガバンク機構の市町村支援分野のメンバーとなりましたが、2人の子どもの出産・育児もあり、なかなか思うようにチームに貢献できずにいました。今年から少しずつ自分ができることをはじめていこうと思っていたところ、岩手看護学会学術集会が矢巾キャンパスで開催されることを知りました。岩手県内の看護職の方が集まるこの機会に、メガバンクのことを知ってもらいたいと思いましたし、現場の保健師の活動に貢献できる情報提供ができたらと思い、今回取り組みました。
発表演題は震災後の不眠症状をテーマに取り上げましたが、これは、睡眠障害が被災者の抱える健康問題の中でも多いこと、そして、生活習慣病やうつ病などの様々な疾患のリスクになることが明らかになっている一方で、岩手県内の被災地域の睡眠状況については十分に調べられていないことから取り上げました。岩手県内の被災地域の睡眠状況を地域別および男女別に調べることで、その地域における睡眠の課題が明らかになり、より効果的に、よりよい睡眠行動の獲得につなげられると考えています。
【発表演題をまとめる際に苦労したこと、工夫したこと】
現在、2歳と3歳の子育て中のため、いかに研究の時間をつくるかということが課題でした。私の場合、自宅と職場、保育園の距離が近かったため、家族の生活リズムを崩すことなく、研究に取り組むことができました。また、研究メンバーはもちろんのこと、研究をまとめていた期間、体調を崩さず過ごしてくれた子どもたちと、子どもの面倒をみてくれた夫、そして急な保育を引き受けてくれた保育園の先生方にもとても感謝しています。
【今後どのような実践や研究につなげていきたいか】
今回、被災地域の高齢者の不眠症状が女性に多いことがわかったため、今後は家事や介護などの生活背景も考慮して分析していくことと、転居や住まいの状況や人とのつながりも含めて分析し、被災地域の高齢者のよりよい睡眠習慣の確立を目指して、現場の方と一緒にいきたいと考えています。
2023/1/27 掲載