コラムリレー ~「優秀演題賞」2025 受賞者の声~
2025年10月に開催されました第18回岩手看護学会学術集会(大会長:外舘和佳子氏)では、3題が「優秀演題賞」に選出されました。
受賞者の声①
看護職の仕事と介護に関する実態と両立に向けた課題-A県内の地域別の分析から-
〇赤井純子さん、佐藤奈美枝さん、岩渕光子さん、三浦幸枝さん(岩手医科大学看護学部)
この度は、岩手看護学会において優秀演題賞をいただき、心より感謝申し上げます 。今回は、「看護職の仕事と介護に関する実態と両立に向けた課題 ―A県内の地域別の分析から―」というテーマで研究を進めてまいりました 。
現在、社会全体で仕事と介護の両立を担う「ビジネスケアラー」の急増が大きな問題となっています 。常に人材不足が叫ばれる看護の現場において、介護を理由とした離職は組織にとっても大きな損失です 。特に介護を担う世代は30~50代の働き盛りであり、技術・マネジメントの両面で現場を中心となって支える貴重な人材です。そのような年代の看護職が介護に直面した際に、「働きたくても辞めざるを得ない」という状況は防ぎたいという思いが本研究の動機となりました。
本研究では、A県内の一般病院に勤務する看護職を対象に、地域別の分析を行いました 。その結果、沿岸・県北では40代が有意に多く、県南では介護経験者が多いなど、地域によって年代や家族構成、支援制度の認知度に差があることが明らかになりました 。 ポスター発表の際には、沿岸地域の方から「震災によって雇用や人の流れが大きく変わり、それが家族形態や介護環境にも影響している」という貴重なご意見をいただきました。一律の対策ではなく、その地域や職場の実情、そして看護職一人ひとりのライフステージに合わせた「顔の見える支援」の重要性を改めて痛感いたしました 。
研究を通じて、制度の整備はもちろんのこと、現場における「心理的安全性の保障」が不可欠であると実感しました。対等な関係性の中で、介護の悩みや不安を日頃から相談できるコミュニケーションの土台があってこそ、支援を求める人に適切な制度がつながるのではないかと考えます。また、若い世代への情報提供や、制度や手続きの相談窓口となる事務職との連携も不可欠であると感じました。組織全体で取り組む体制を整えることが、突発的な介護に備えるための鍵となると考えます。
今後は、誰もがキャリアを大切にしながら働き続けられるよう、介護経験の有無に応じたよりターゲットを明確にした「両立支援プログラム」の開発に取り組んでいく所存です。
最後になりますが、多忙な中、常に温かくご指導くださった共同研究者の佐藤奈美枝先生、岩渕光子先生、三浦幸枝先生には、この場を借りて深く感謝申し上げます 。今後も、看護職が安心して働き続けられる環境づくりに貢献できるような研究を続けてまいりたいと考えております。
2026/3/10 掲載
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